1ページ目/全2ページ 下になっている宍戸の頬に、彼の暖かな涙が滴り落ちてくる。 鳳は、嫌われてしまうつもりなのだ。 自分から、宍戸に振られる覚悟で、こんな真似をしているらしい。 「お前……。」 どうして、こんなに彼は不器用なんだろうか? そして、なぜ、こんなに自分に自信が持てないのだろうか? 宍戸は、彼を嫌った事など一度も無かった。 「何で俺が……長太郎の事を嫌いにならないといけないんだ? どうして、俺がお前を好きな事を信じてくれない? どうしたら、理解してくれるんだ? 俺は、お前になら、何をされても嫌じゃ無い。 嫌いな人間に、こんな風に抱かせたりしない。 こんな事を……お前以外の人とする事は、一生無いよ。 この先も、ずっと長太郎だけだ。」 そう言って、宍戸は、鳳の涙を指先で拭い取った。 それから、優しく彼に顔を近づけて頬づりをし、柔らかな口づけをした。 昼間、逃げたのは、ただ恋人が変わってしまったようで、怖かっただけだ。 しかし、この涙を流している男は、確かに愛して止まない自分の恋人だと、 宍戸は思い、安堵していた。 彼は、何も変わっていなかった。 そんな彼を泣かせてしまったのは、自分の責任だ。 宍戸は、恋人の首へと腕を回した。それから、下肢を絡めて、緩やかに腰を使った。 果肉と果汁が溢れ出して、二人の腹を汚したが、宍戸はかまわずに下腹部を 動かし続けた。 自分は、鳳から、苦痛だけを感じているわけではない。 喜びも快楽も感じているし、彼が強く抱きしめてくれるたびに、愛されている事への 幸福も感じている。 鳳にも、それを理解して欲しかった。 「長太郎、ちゃんと見てくれ。俺の身体が、お前を拒絶しているか? お前が欲しくて、こんなになっているのに……。どうして、俺の気持ちを疑うんだ? 」 宍戸の砲身は、夜空を目指すように、大きくそそり立っている。ほんの少し尻を強く 突かれると、間違い無く出してしまうだろう。 昼間も、鳳に尻を責められながら、何度も泣きながら射精している。 彼に抱かれる行為は、決して嫌いでは無いのだ。 「長太郎。もっと強く俺を抱いてくれ。もっと、俺を責めてくれ。 お前が、間違いなく俺の物だと感じさせてくれよ。」 鳳は、涙を流したまま、宍戸に促されて自分からも腰を突き込んできた。 宍戸の体内へ、繰り返し太い楔が打ちこまれてゆく。 喘ぎ声をあげる宍戸へ、鳳も、鼻を啜りながら、言葉をかけていた。 「宍戸さん、気持ちが良いんですね? 俺に抱かれるのが、嬉しいんですね? 俺も嬉しいです。貴方をもっと感じさせてあげたい。俺も、貴方を全身で感じたいです。」 二人で星明かりの中で、強く抱き合いながら、何度も狂おしく口づけをかわしていた。 最初に、部室で抱き合った日と同じだった。 みんなが帰宅してしまった部室で、夜の更けるまで、二人で快楽を共にしたのだ。 その日の思いを二人とも思い出していた。 一生、一人の人だけを愛し続けようと、心から誓った日だったのだ。 ★ 疲労した二人は、仲良く並んでチェアに寝そべり、星を見上げていた。 全身が心地よく痺れており、しばらく動けそうも無かった。 お互いの身体をそっと撫でながら、同じ夜空を眺めている。 排気ガスで汚れてしまった東京の空では、決してお目にかかれない見事な星空だった。 隅から隅まで、輝く星で埋め尽くされて、今にも、自分達の胸元へ零れ落ちそうに なっている。 これだけ、密集している星達が、実際は、何万光年も離れて一人きりで 輝いているとは信じられない話だ。 「……長太郎。お前は、留学して遠くへ離れてしまったら、 心まで俺から離れてしまうのか? 」 宍戸のそんな呟きに、鳳は、大きく頭を横に振ると、力強く答えた。 「そんな事は絶対にありません。俺は、ずっと宍戸さんを思っています。 もし、宍戸さんと別れる日が来たとしても。俺の気持ちは永遠に変わらないと 思います。」 そんな鳳の言葉に、宍戸は、優しく微笑んだ。 「長太郎。俺だって同じだ。お前がドコにいても。俺はお前の事を思っているからな。」 鳳は、そんな宍戸の言葉に涙ぐんだ。少しだけ息をついてから、こんな話を宍戸へ 告白した。 「宍戸さん。俺は、きっと両親に良く似ているんです。彼らと同じ事を宍戸さんに していましたから……。 ……宍戸さん。この島は、子供の頃、俺が父親からもらったものなんです。」 楽園へ行きましょう!最終話へ続きます。行ってみる→ ![]() 1ページ目へ戻る ![]() 小説目次ページへ戻る ![]() |